実生同士の接木
去年のちょうど今ごろにアボカドの接木をしました。うちで種から育てていた苗(実生苗)同士を接木したのです(→『アボカドの接木にチャレンジ!』)。

ここで接木の意義と、実生苗同士の接木をとおして考えたことをまとめておこうと思います。こんなことは分かってる人からしてみれば当たり前のことなのでしょうけど、同じようなことを考える人がいるかもしれませんからね。

まずは一般的に言われている接木のメリットのおさらい・・・

 a. どんな品質の実がなるかがあらかじめ分かる
   種子から育てた場合は花粉親の血が混ざっているので結実してみないと
   分からず、美味しくない実がなる可能性もある。

 b. 種子から育てた場合よりも早く実がなる
   結実年齢に達するのが早い。

 c. その土地の環境(気候・土質・管理方法)に合った木を台木にできる
   たとえば寒い地方では寒さに強い木を台木にすれば耐寒性がアップする。

 d. 台木により樹勢をコントロールできる
   たとえば樹勢の強い木を台木にすれば樹勢を強化でき、樹勢の弱い木を
   台木にすれば樹勢を抑えられる。

それ以外に個人的な理由として・・・

 e. 接木作業が楽しい
   園芸のプロになった気分が味わえる。
   これが一番の理由かもしれません(^^;)

a.は、もちろん結実実績がある木から穂木をとった場合の話です。去年接木した時は、結実実績など無い1年生実生苗から穂木をとりましたので、当然a.は関係ありません。

5本接木したうちの3本は、和歌山から取り寄せたベーコン種のアボカドの実生苗でした。ベーコン種はメキシコ系のアボカドで、耐寒性があると言われています。その血を引いているわけですから、片親(花粉親)はベーコン種じゃないかもしれませんが、まあ耐寒性はあるほうでしょう(そのかわり耐乾燥性はダウン)。というわけでc.は活かせてますね。

残りの2本は一番ポピュラーなハス種の実生苗同士で穂木を交換しただけ(頭を交換し合ったイメージ)です。まあそれまで2本とも鉢植えという特殊な環境で良く育っていたので、鉢栽培に向いた性質を持っていると言えなくもないかもしれませんが。

問題はb.です。

b.については、結実実績がある木の枝は開花結実する準備ができている(生殖生長しやすくなっている)から、それを穂木にして接木すれば種から地道に育てるよりも早く結実するというのが基本的な考え方だと思っています。

木を大きくするための栄養生長(枝葉だけが伸びる)から生殖生長に切り替わるスイッチが植物にはあるのでしょうね。一度そのスイッチがONになると、それ以降もONになりやすくなるということなのでしょう。そのスイッチは一体どこにあるのでしょう? 穂木がその性質を受け継ぐということは、末端の枝にまでスイッチがあるということですよね。1つ1つの細胞の中でしょうか? 最初の切り替えのタイミングはどうやって判断してるのでしょう? 木が十分に生育したことをどうやって植物は感じるのでしょう? 不思議ですね〜。

もちろんこれはスイッチが一度もONになったことのない栄養生長する気マンマンの1年生実生苗からとった穂木には関係の無い話です。ただ正直言うと、ひょっとしたら種からそのまま育てるよりは少し結実が早まるのではないかと淡い期待を抱いてました。というのも、植物はストレスがかかると開花結実しやすくなるからです。生命の危機を感じると子孫を残そうとするからだと言われていますよね。露地栽培よりも鉢栽培のほうが結実が早いと言われるのもこれが理由ですよね。

接木は植物にとっては大手術のはずです。人間では考えられないですよね。だから接ぎ目ができたことに植物は生命の危機を感じるのではないかと。水分や養分のやりとりはしづらくなるはずですしね。そして結実実績のない枝を穂木にしたとしても種から育てるよりは開花結実が早まるのではないかと。はたまた栄養生長から生殖生長に傾くことで少しなりともアボカドの旺盛な樹勢が落ち着いて徒長が抑えられるのではないか。つまり若干の矮化効果が期待できるのではないか。そう考えたわけです。

実生同士の接木から1年が経過したアボカドの苗

期待はみとごに裏切られました。接木から一年経って、背丈は1m前後までなっています。夏に水がれで弱らせたにもかかわらず普通に種から育てたのと同じ勢いで育ってます。比較実験をやったわけではないのでもちろん正確なところは分かりませんが、樹勢が落ち着いたようにはまったく感じられません。やはり矮化効果を期待するにはちゃんと矮性台木に接がないとダメそうですね。この様子だと結実が早まることも無さそうです。つまりb.もa.と同様、大人になった木から穂木をとらないとダメということですね。

結論的に言うと、結実実績が無い実生苗から穂木をとって接木することが意味をなすのは、c.かd.ねらいの時(私的にはe.ねらいの時も!)ということですね。

以上は植物学や生物学のバックグラウンドのない趣味の園芸人がほんのわずかな経験をもとに推察したことなので、ツッコミは大歓迎です。ぜひコメントをください。こんなところまで真面目に読んでくださる方はほとんどいないと思いますが(^^;)

ちなみにd.を応用してb.ねらいが可能な場合があります。アボカドでは難しいですが、実生同士の接木で結実を早めることができるケースがまったく無いわけではありません(→『実生ブラッドオレンジの接木』)。実生だと初期の生育が悪い果樹には試す価値ありじゃないかと思ってます(マンゴスチンはダメらしいですが)。

接木について延々と書きましたが、私が感じている実生の楽しみを最後に挙げておきます。

・芽が出る瞬間は何度見ても楽しい!
・誕生の瞬間から見守ることで、より親近感・愛着が湧く。
・種から育てることで、その植物の生態をより深く理解することができる。
・1匹ずつ個性が違う(優等生もダメなやつもいる)。
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by papaya_gyunyu | 2009-03-31 17:18 | アボカド


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